ちくのう(慢性副鼻腔炎)

ちくのう 花粉症 急性中耳炎 滲出性中耳炎 めまい  

 今から20年、30年前はこどもがはなみずを拭うために袖口がてかてかになっている風景はよくみられました。最近はそのようなこどもが少なくなりましたが、現在でも耳鼻科で多い病気はこのちくのう(慢性副鼻腔炎)です。


★「ちくのう」とは
 鼻には実際に空気がよく通る”鼻腔(びくう)”とその脇にひろがっている”ふくびくう(副鼻腔)”があります。ちくのうはこの副鼻腔に慢性的な炎症おきている病気です。副鼻腔には4種類があります。上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞(篩骨洞の後方にある)です。


★ちくのうの症状
 少しねばっこい鼻汁(はなじる)、はなづまり、のどへの鼻汁のたれさがり、などが主な症状です。普通の風邪でも黄色い鼻汁がでることはありますが、この場合は短期間に治っていきます(急性副鼻腔炎)。しかしちくのうはなかなかなおりません。急性副鼻腔炎が慢性化するのがちくのうです。ですから風邪で鼻が悪くなり、なかなか治らないときは早めに耳鼻科を受診することをおすすめします。

★ちくのうの治療
 ちくのうの治療といえば手術がすぐに頭に思い浮かびますが、最近はよい薬がでてきたため、手術しなければならないような患者さんは減ってきました。この3、4年、ちくのうにはマクロライド系といわれる抗生物質がよく使われ、効果をあげています。この薬を少し少な目の量を長期に使います。そうすると多くの患者さんで驚くほど良い効果をあげます。この薬に加えて鼻汁をさらさらにする消炎酵素剤という薬を併用するのが一般的な治療です。定期的な受診で鼻内の局所処置、鼻の吸入を続けることも重要です。
 しかし、これらの治療でもなかなかなおらない難治の患者さんも確かにいます。鼻茸(はなたけ)と呼ばれる炎症性の粘膜の腫脹が強い場合はしばしば手術が必要です。

 

質問1、抗生物質を長期間使うと副作用が心配ですが、大丈夫でしょうか。


答え  マクロライド系抗生物質を長期に使う場合、その量は通常使用量の半分程度です。またマクロライド系の抗生物質は他の抗生剤と違い、免疫系の抑制を起こさないと報告されています。耳鼻科では現在この系統の薬が広く使われていますが、重大な副作用も報告されておりません。ただしすべての薬に言えることですが、全く副作用のない薬はありません。この薬に限りませんが、薬の服用で何か異常があればすぐに担当医にお知らせ下さい。

質問2、以前は鼻洗(びせん;鼻を洗うこと)をよくやってもらいましたが、今は必要ないのでしょうか。


答え    薄い食塩水などでの鼻洗の治療は以前はよくやられていましたが、現在はあまり行われていません。図でも説明したようにちくのうの病気の主体は鼻腔ではなく副鼻腔です。鼻の吸入(ネブライザー)では薬液は副鼻腔に到達しますが、鼻洗では副鼻腔は洗えません。全く効果がないわけではありませんが、現在は鼻の処置(吸引)と吸入の治療のほうがよいとのことで以前よりやられなくなっております。
 鼻洗はあまりやられませんが、副鼻腔の洗浄はときどき行うことがあります。これは副鼻腔を直接洗うため良い効果が期待できます。しかし鼻の中の粘膜、骨を注射で突き抜かせるため局所麻酔が必要です。悪臭のある鼻汁が続いている患者さんに行います。

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