石狩湾耳鼻科

溶連菌による扁桃炎

【溶連菌による扁桃炎】

Q: のどの痛みで病院を受診したところ、溶連菌による扁桃炎と言われました。溶連菌は子どもがかかるものと思っていたのですが、大人もかかるのでしょうか。

A: 溶連菌、正式にはA群β溶血性連鎖球菌という細菌ですが、ご質問のとおり、子どもがよくかかる病気です。くしゃみや咳により唾液や喀痰が飛沫拡散することにより人から人へ伝染します。保育園、幼稚園などでの流行がしばしば認められることから、こどもがかかる病気のイメージが強いのですが、大人も感染します。子どもでは4歳から10歳くらいまでの年齢でかかりやすいのですが、当院の統計では、子どもの患者さんと同じくらい大人の患者さんがこの溶連菌で扁桃炎を起し受診しています。

昔は溶連菌の検査の結果は何日もかかっていたのですが、迅速検査が普及してきており、現在は外来で15分以内に簡単に結果がわかるようになっています。

一年中患者さんが発生していますが、夏の8月は比較的少ない傾向にあります。家族内感染率も高く、子どもがのどの痛み、発熱があった場合は、こどもから感染した可能性を考える必要があります。   

のどの痛みを起す咽頭炎、扁桃炎はいろいろなウイルス、細菌で起こりますが、溶連菌が原因のケースはその中のおおよそ2割くらいを占めるのではないかといわれています。

Q: 溶連菌ということで薬を10日間ももらいました。2、3日でよくなったのでやめてしまいましたが、本当にこんなに長く飲む必要があるのでしょうか。

A: 幸いなことに溶連菌は耐性菌という、薬に効きにくいタイプはまれです。普通ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系などといわれる抗生物質が処方されます。どれも溶連菌によく効く抗生物質ですが、しかしながら、中途半端な治療では再燃することも多く、少し長い期間の薬の服用が必要とされています。溶連菌による扁桃炎の場合は症状が重症になりやすく、ひどくなると扁桃周囲膿瘍というものを起し、扁桃の裏側、奥に膿がたまり食事ができなくなったり、口もあけることができなくなってしまいます。また稀ですが、子どもでは溶連菌感染後にリウマチ熱や腎炎を起すことがあります。そのためにも症状がよくなったからといって薬をやめるのではなく、菌を完全に退治するためにきちんと最後まで薬を飲み続けることが大事です。

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