石狩湾耳鼻科
耳閉感、音の響き

【耳閉感、音の響き】

Q:時々片方の耳がつまった感じになり、音が響いて聞こえます。どうしてこのようになるのでしょうか。

A:耳がつまった感じは、人によって「トンネルにはいったような感じ」、「峠を越えたときの感じ」などとさまざまな表現をしますが、耳鼻科ではこの感覚を「耳閉感」と呼んでいます。また音が響く場合、自分の話す声が響いて聞こえる場合は「自声強聴;じせいきょうちょう」、周囲の音が響いて聞こえる場合は「聴覚過敏;ちょうかくかびん」と呼んでいます。

空気の振動である音は鼓膜に達し、これを振るわせます。鼓膜の振動は耳小骨(じしょうこつ)という三つの小さな骨を介して、内耳(蝸牛;かぎゅう)に伝わります。この蝸牛の中で音の振動は内耳の感覚細胞である有毛細胞(ゆうもうさいぼう)というものによって電気信号に変えられ脳に伝わり音として認識されます。

「自声強聴」は外耳道から鼓膜、耳小骨にかけての障害によることが多いとされています。自分が話した声は通常の、鼓膜を通して到達する経路とは別に、頭蓋骨の骨を介して伝わる部分があります。鼓膜、耳小骨の動きが障害されて、頭蓋骨経由の音が強調されて聞こえる場合、自分の話す声が響いて聞こえるように感じます。一方、「聴覚過敏」は内耳の障害のことが多いとされています。小さな音が聞こえない一方で、音が大きくなるにつれ急に聞こえ方が強くなる現象があり、内耳の有毛細胞が障害されたときに現れます。専門的には「補充現象」とよばれています。

Q:このような症状がでている場合、どのような病気になっているのでしょうか。

A:耳閉感、自声強聴、聴覚過敏を引き起こす病気はたくさんあります。みみあかが詰まっても、中耳炎で鼓膜の裏側に液がたまってもなりますし、他に耳管狭窄症、耳管開放症、突発性難聴などさまざまです。ただ最初の質問にあるように時々出現するような場合、「急性低音障害型感音難聴」の可能性を考えたほうがよいように思われます。最近この病気の患者さんが多く受診しています。若い女性に多く、ストレス、疲労などが誘因になると報告されています。大部分は薬で回復しますし、自然に治ることも多いと推測されています。しかし、聴力の回復しないもの、回転性めまいを伴うメニエール病に移行するものもあり、症状が続くようであれば耳鼻科を受診してきちんと検査してもらう必要があります。

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