石狩湾耳鼻科
秋の花粉症

【秋の花粉症】

Q:毎年秋になるとくしゃみ、鼻水がひどくなります。秋の花粉症ってあるのでしょうか。

A:北海道の花粉症といえば、4月下旬から5月にかけての白樺花粉症、6月のイネ科牧草花粉症がよく知られています。しかし、花粉症は春だけでなく、秋にもあります。
 例年8月中旬のお盆過ぎからヨモギの花粉が飛散を始めます。8月下旬から9月にかけて毎年アレルギー症状が出る場合、このヨモギ花粉症の可能性が高いと思われます。ヨモギはキク科の植物です。本来キク科の植物は黄色い花をつける虫媒花の植物ですが、ヨモギは黄色い花はつけず、風媒花の植物です。進化の過程で乾燥した環境に適応するため変化したものがヨモギだと考えられています。風媒花のため比較的多くの花粉を飛散し、花粉症を起こしやすくなっています。

Q:ヨモギの花粉症の場合、ヨモギ餅などは食べることができないのでしょうか。

A:白樺花粉症では約半数の患者さんでリンゴ、サクランボなどで口がかゆくなったり腫れたりする口腔アレルギーが問題になっています。しかし、以前の調査から、ヨモギ花粉症であってもヨモギ餅などを食べられない人はいませんでした。おそらく花粉の中のアレルギーを起こす蛋白はヨモギの葉には含まれていないためと推測されます。

Q:ヨモギ以外の秋の花粉症はないのでしょうか。

A:秋の花粉症といえば、本州ではブタクサ花粉症が代表的なものです。しかしながら幸いなことに札幌などの道央地区をはじめ、北海道の大部分の地域ではブタクサの植生はありません。道南の函館地方、そこから北上した太平洋岸にはブタクサの植生はあるとされていますが、ごくわずかと思われます。
 これ以外では、荒地の秋を黄色に染めるセイタカアワダチソウ、オオアワダチソウは花粉の飛散は少ないのですが、少数の人に花粉症を起こします。
 花粉症とは別に秋に症状がひどくなる原因としてダニなどの室内塵が関与している場合が多く認められます。本来は1年中症状を起こすダニのアレルギーですが、高温、多湿の環境が大好きなイエダニは8月くらいから多くなります。このため秋にひどくなる患者さんの場合、ヨモギなどの花粉症だけでなく、こちらも考慮しておく必要があります。原因抗原に関しては耳鼻科で検査が可能です。

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